いぼについて
いぼは皮膚から盛り上がった病変のことで、その種類は多岐に渡ります。
大きさ、種類、症状、形状に応じて治療方法を変える必要があるため、皮膚科で診てもらい、適切な治療を受けましょう。
ウイルス性のいぼの原因
いぼは良性腫瘍の一つで、ヒトパピローマウイルス(HPV;human papillomavirus)への感染によって現れます。皮膚に何も異常がない場合、感染は起こりませんが、小さい傷などがあれば感染します。その多くは自然に治癒しますが、手指で触ると他の部位に感染が広がってしまう場合があります。
いぼの原因となるウイルスは100種類以上に分類され、尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)扁平疣贅(へんぺいゆうぜい)、尖形コンジローマ、ボーエン様丘疹(きゅうしん)症といった疾患を引き起こします。
水いぼについて
水いぼにかかりやすいのは、新生児から小学校低学年の子どもです。
アトピー性皮膚炎などでお肌を保護する働きが鈍ると感染しやすくなると言われています。
水いぼができる原因
伝染性軟属腫ウイルスの感染が原因です。プールで同じビート板や浮き輪、タオルなどを使用すると感染するケースが多いです。また、感染した部位を掻いてしまい、手指から感染が広がっていぼが増える場合もあります。
水いぼの症状
光沢のある水っぽい丸い小さな膨らみがあります。気になって掻いてしまうと、増えたり大きくなったりします。水いぼができても痛みやかゆみは現れませんが、周りに湿疹などが現れたり、気になって掻いてしまうとかゆくなったりします。
皮膚と皮膚が擦れやすい膝、脇、肘の内側などにできた場合、潰れて数が増える可能性があります。また、家族間で同じタオルなどを使い回すことで感染が広がる場合もあるため、子ども同士で同じものを使いまわす際は注意しなければいけません。大人の場合、性行為からうつるケースもあります。特に、HIVやアトピー性皮膚炎の方は治療が難しくなる場合があります。
ウイルス性のいぼの治療
液体窒素を用いた冷凍凝固法
冷凍凝固法とは、液体窒素によっていぼを凍結壊死させる保険適用の治療です。いぼに繋がる血管を凍結させて栄養が供給されないようにすることで、免疫反応を誘発するなどの効果が期待できます。治療後は、赤みが残ったり、水ぶくれができることがあります。皮膚科ガイドラインでは1-2週毎の治療が推奨されています。難治性であり、数ヶ月以上治療に時間を要することもあります。
漢方(薬薏苡仁:ヨクイニン)を使用した治療
ヨクイニン(エキス)は生薬であるハトムギの皮を除き、種子から抽出されたできた成分です。ハトムギは雑穀の他に生薬として昔から利用されていました。美容に効果を発揮すると言われており、食用以外にも保湿剤や美容液として昔から利用されてきたと言われています。民間療法ではいぼを治療するのに用いられており、国内においてはウイルス性疣贅の青年扁平疣贅、尋常性疣贅の治療法として保険が適用されます。
水いぼの治療
当院では、基本摘除せず、自然に免疫がつくように外用指導致します。
首、脇にできるいぼの治療
液体窒素による冷凍凝固法
ウイルス性のいぼ治療と同じように液体窒素で冷凍凝固法を行います。
※跡が残る可能性があります。
ハサミカット
1mm程の細い茎で、ピンセットで取り出せるいぼの場合にこの処置を行います(太い茎には適応しません)。
手術用の良く切れるハサミを使い、根元から切除します。不安に感じる方も多いですが、痛みはわずかに感じる程度です。いぼが小さければ、切除しても出血はほとんどありません。炎症後の色素沈着も他の治療より可能性は低いです。なお、茎を切除した部位に白色の瘢痕が残る可能性があります。
炭酸レーザー
いぼ、ほくろ、隆起したしみなどが対象で、炭酸ガスを用いて取り除く治療法です。CO2レーザーは水分に吸収されやすく、水分が多く含まれる皮膚にレーザーを当てるとすぐに熱エネルギーへと変わり組織を破壊します。ターゲットに高エネルギーを短時間で照射可能なため、治療は短時間で傷痕にもなりにくい治療です。
また、レーザーを当てた周りの血管は熱による凝固作用ですぐに固くなり、出血もほぼありません。